心と体の自己治癒能力を高めるために 自律訓練法

マインドの使い方

皆さんは自律訓練法というものを知っているだろうか。全くもってメジャーではないものだが、1度くらいは聞いたことがある人が多いのではないだろうか。

私は3年間ほど毎日自律訓練法を行なっていた。今は別の瞑想法を行っているため、気が向いた時しか行なっていないが、健康法として非常に有効で、世間ではリラックス法として浸透されているが、自律訓練法を実践していると体や精神の不調が改善されるケースが多く、人によっては偏頭痛や鬱や睡眠障害等が改善したりもする。

なぜこのような事が起こるのかについてはまだはっきり分かってないが、ここでは私なりの解釈とそのやり方、効果等を記載したいと思う。

自律訓練法とは

自律訓練法とは、瞑想法の一種で、ドイツの精神医学者のヨハネス・ハインリッヒ・シュルツによって開発された自己催眠法である。

シュルツは催眠状態になった人は共通の体感を得ていることに注目し、一人でこの体感を得ることができれば自己催眠が可能なのではないかと考えた。この考えを基に開発したのが自律訓練法だ。

自律訓練法では、体の部位の体感を催眠状態と同様なものに変化させることで、一人で催眠状態(トランスや変性意識と言われている状態)に入る事ができるようになる。

実際、私も自律訓練法で変性意識状態へ入る事ができるが、自由にできるようになるには、毎日15分ほど練習して1年ぐらいかかった。

私は自力でできるようになったが、今にして思えば、プロにお願いし、深い変性意識へ誘導してもらった方が手っ取り早かったと思う。

なぜなら、一人で訓練する場合だと、初めの頃は変性意識が深まる感覚がどのようなものかわからないからだ。

私の場合、半年ぐらい続けてると、なんとなく感覚が変わってっくるのがわかるが、これが本当に変性意識なのか確信が持てなかった。1年ぐらい続けてやっと確信が持てるようになり、ある程度自由に変性意識へ入れるようになった覚えがある。

今から始める人は、信頼できそうな催眠術師や自律訓練法を指導できるプロへお願いするのをお勧めする。腕の良い人なら私の1年を1日へ短縮してくれるだろう。それぐらい催眠において、相対での経験値は高くなる。

自律訓練法の効果

自律訓練法の効果としては、佐々木先生の上記の書籍に以下のようにある。

蓄積された疲労の回復がえられる。
イライラせず、穏やかになる。
自己統制力が増し、衝動的行動が少なくなる。
仕事や勉強の能率が上がるようになる。
身体的な痛みや精神的な苦痛が緩和される。
内省力がつき、自己向上性が増す。

こう見るとまるで魔法のようなツールに見えるが、まさにその通りで、上記の効果は程度の差はあるものの実際現れている気がする。

私の場合、自律訓練法を実践後、禁煙、ダイエットに成功し、寝付けない夜は睡眠薬を使ってたのだが、睡眠薬も不要になった。さらに、自己治癒力もアップしたのか、心身ともに元気になった。

何故このような効果がでるのか

何故このような事が起こるのか医学的にははっきり分かってないが、私が人の話を聞いたり、書籍で読んだりしたところ、深い変性意識状態では何故かはよくわからないが、ヒーリングが介在しており、様々な病が治ったり改善したりするらしい。

この事は上記の佐々木先生の本のみではなく、以下の自律訓練法の書籍でも言及されている。

また、多くの人が知っているように、世の中には様々は奇跡がある。

気功で癌などの病が治ったり、スポーツでアスリートが超人的なパフォーマンスを発揮したり、科学者が宇宙の法則を理解したりなどなど、こういった奇跡のほとんどはフローやゾーン、トランスといった変性意識が介在している事がわかっている。

人間は、特殊な意識状態で変性意識が深くなると病が治ったり、世紀に1回の発明をしたり、おばあちゃんが火事場でタンスを持ち上げたり、悟りを開きブッダになったりなど、潜在的な力が発揮されるようだ。

どうも人間の脳にはモードがあり人間は特殊なモードではとんでもない能力を発揮できるらしい。

もちろん、そのような意識状態を作り上げる事は容易ではないだろうが、自己治癒能力を高める程度の変性意識ならば、練習次第で誰でもできるようになる。

その一つの練習方法が自律訓練法である。

自律訓練法のやり方

自律訓練法は、いくつかの公式と呼ばれる文章を心の中で唱え、それによって暗示を行い、徐々に変性意識を深めて行く。

また、訓練を始めるにあたり、重要になってくるのはリラックスする事だ。

環境や訓練を行う格好・姿勢も特に決まってないがリラックスできるものにしよう。

私の場合、初めは自室でベッドで仰向けで行っていたが、自室以外でもやりたくなったので、椅子でやるようになった。リラックスできる環境なら何でも良いと思う。

背景公式「気持ちが落ち着いている」

よりリラックスを深めるために背景公式と呼ばれるものが用意されており、リラックスするためにも背景公式を唱えよう。

慣れると1回か2回唱えるだけで、リラックスできるようになるが、初めは、もう少し多いほうが良いだろう。

とにかくリラックス状態じゃないと上手くいかないので、背景公式を唱えながら力を抜こう。

それぞれの公式の前に挿入するのもお勧めだ。

第一公式「両手両足が重たい」

両手両足に意識を向け、「両手両足が重たい」と唱える。この時、両手両足はそもそも重さをもっているので、その重さを感じとりながら唱えると良い。

または、両手両足に重りがくっ付いているイメージをしても効果的だ。

第二公式「両手両足が暖かい」

第一公式と同様に、両手両足に意識を向け、「両手両足が暖かい」と唱える。両手両足には体温があり、当然暖かいのである。その温もりを感じ取る様に心がける。両手両足がお湯に浸かってるなどのイメージを使うのも効果的だ。

第三公式「心臓が規則正しくうっている」

心臓に意識を向け、可能ならその鼓動を感じとり、「心臓が規則正しくうっている」と唱える。そもそも心臓は規則正しくうっているので、それを観察すれば良い。ただ、私もそうだったが、初心者は心臓の音を感じ取れないので、最初は心臓のあたりに意識を置き、リラックスしながら、心臓の鼓動を感じ取ろうとするだけで良い。感じ取ろうとしながら、公式を唱えよう。

第四公式「楽に息をしている」

できれば鼻から呼吸をし、鼻からの呼吸を感じ取りながら、「楽に息をしている」と唱える。この時、鼻の穴から空気が体に入る・出るのを感じとるのがポイントだ。普段意識してない呼吸とその空気の流れを意識に上げることで変性意識は深化する。

第五公式「お腹や背中が暖かい」

お腹と背中周辺(胃のあたり)に意識を置き、お腹と背中の暖かさを感じながら「お腹や背中が暖かい」と唱える。人によってお腹と背中の反応が違ってくる場合が多いようだ。私の場合は、背中の方の反応が良いので、訓練を始めた頃は、背中のみ意識を向けるようにしていた。

私はこの温感を感じ取ることが上手く出来なかった。100%できるようになるには訓練を始めて10ヶ月ぐらいかかったと思う。温感を感じ取れなかった時は、ホッカイロがお腹と背中にくっついているイメージを作って行うと、上手くいくことが多かった。

第六公式「額が涼しい」

この第六公式は最も重要で一番難しい公式になる。

まず、意識を額に置き、額の涼しさというか額が触れている空気の流れを感じ取るように心がけながら「額が涼しい」と唱える。

これが出来た状態というのは、既に深い変性意識状態になっており、意識状態が変化しているはずだ。といっても最初はこの感覚が分かりずらいと思うが、何度も練習していくと確実にわかるので、諦めず練習を続けて欲しい。私もこれが出来るようになるのに1年ほどかかった。リラックスの仕方が上手い人や、感覚に意識を置くのが上手い人はもっと早く出来るようになるだろうが、とにかく継続あるのみだと思う。

私が一番効果的だったイメージは、お風呂上がりに体はポッカポッカと温まり、髪を乾かそうとドライヤーの風(冷風)を髪やオデコにあて、その風がとても涼しくて気持ちいい時のイメージだ。

私の場合、このイメージングをやり続けてたせいか、お風呂上がりにドライヤーで風をおでこに当てるだけで軽く変性意識になる。

また、変性意識に入る方法として、ラピッドアイロールというのがあり、これを行うことで、軽い変性意識へ入ることができるのだが、「額が涼しい」時の感覚と似ているので、一度トライしてみるのも良いだろう。

やり方は簡単で、目を瞑りリラックスし、目をオデコの方向の一点を凝視するだけだ。目を開けたままでも出来るが、その場合、白眼になるので、かなり不気味な光景になるのを覚悟しよう。

変性意識の感覚が全くわからない人は、ラピッドアイロールはオススメの方法で、私は目が疲れるせいか、これで変性意識を深めることはできないのだが、変性意識がどのようなものなのか知るには有用な方法だと思う。

練習時間と消去法

上記の6つ+1つの公式を何度か繰り返す。時間は10〜15分を目安に行う。初めての人はいきなり全部の公式をやろうとしても、まず覚えるのが大変だし、意識を急に切り替えるの難しいので、背景公式と、第一、第二公式のみから始めるのが良いと思う。

また、練習が終わったら、催眠状態をリセットするために消去法を行う。消去法のやり方は、以下の2つの方法が一般的だ。

手をグー・パーのように拳を握って、開いてを数回繰り返す。
全身を伸ばした状態で、一気に脱力する。

おわりに

自律訓練法の習得には最低でも半年かかると言われている。私の場合は1年かかった。ただ一度マスターしてしまえば一生物で、これを実践するだけで健康になる素晴らしいツールだ。さらにマスターすることで応用の幅も広がり、様々な瞑想の基礎にもある。

個人的には最近流行りのマインドフルネスより効果的だと思う。是非トライしてもらいたいツールである。

コメント

  1. takezo87 より:

    自律訓練法はどんなところで学べるのでしょうか?
    今回の内容はすごく興味深い記事でした。
    ゾーンは部活動の試合時に経験したことがあります。人の動きやボールがスローモーションのように見えました。

  2. psypanica より:

    素晴らしいですね。試合でゾーンに入れたってことは、かなりトレーニングを積んだんですね。
    自律訓練学会というのがあって、その学会が自律訓練法の指導資格を発行しているようです。
    以下、指導医のリストです。
    http://www.jsoat.jp/contents/qualifiedpersionlist
    また、自律訓練法の指導してくれる催眠術師もいます。
    私の知ってる催眠術師では、
    以下の林先生や
    https://hayashisadatoshi.com/profile.htm
    以下の吉田先生がセミナーで自律訓練法の誘導をしてたようです。
    http://www.saimin.co.jp/jha/
    自律訓練法自体を学びたいのなら、指導医の方に教えてもらうのが良いでしょうが、
    指導医だからといって、催眠誘導が上手いかどうかはわかりません。
    ですので、お勧めは、知識は書籍で習得し、体感(変性意識の感覚)は
    実力があって信頼できる催眠術師に実際に催眠にかけてもらって、
    変性意識状態がどんなものか体験してみるのが良いと思います。
    可能なら自律訓練法で催眠状態へ誘導してくれる術者がベストです。
    もちろん一人だけでも時間をかければできるようになりますよ。

  3. takezo87 より:

    ご丁寧な説明ありがとうございます。
    調べてみて実践したいと思います。

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